好きじゃない色なんてない

自分を愛すること。

それが大事だとは何遍も言われていたし、頭ではわかっていたし、その方が幸せだろう。

だけど、どこか他人事だった。

今でも自分事なのかと問われたらYESと答えるのが怖い。

僕のアイデンティティは「自分が嫌い」ということだった。

そう言う自分の声を一番大きく張り上げていただけなんだけど。

他人からの批判を受け付けないために、先んじて声を大に「俺はクズ野郎だ!」と言い張っていた部分もあるし、もちろんプライドはあって、どこか斜に構えた自分を好きな面もあった。でもそんな自分の声は存在しないかのように押し潰していた。

自分を好きになるなんてだめだ。そんな奴は俺じゃない。そう思い込んだ。

要は厨二病だった。

自分の色

そんなわけで僕の好きな色はずっと「黒色」だった。

チューリップの歌じゃないが、赤・白・黄色なんて明るい色は似合わない。

鮮やかな色彩なんて僕には関係ないどこか絵空事の話。

だけど。

真面目で明るいなんてくそだと思いながら、僕はいわゆるマジメ君だった。

人から怒られたりするのを恐れて、ぶつかることを避けて、純粋な真っ黒にはなれなかった。

純粋な黒。悪役に心惹かれた。

僕はバイキンで怪獣でモンスターだと自分だけには言い聞かせていた。

だけど周りにはいい子ぶる中途半端な自分を嫌っていた。

いや、もしかしたら嫌うために中途半端であり続けたのかもしれない。

白か黒かという分断

自分のことを好きだし嫌いだ。

本当は明るい色だって好きだし、暗い色だって好きだ。

明るい色なんて嫌いだし、暗い色なんて嫌いだ。

ルークスカイウォーカーもダースベイダーも好きだ。

勝手に、愛することとは好きでいることだと思っていた。

何かを好きでいるには、それを証明しなくちゃいけないと思っていた。

好きなものの反対のものは嫌いになる必要があると思っていた。

理由もなく好きでいるなんてことはありえないことだと決めつけた。

白が嫌いだから黒が好きなのか、黒が好きだから白が嫌いなのか。

全てを包む愛なんてのは嘘臭くて嫌いだった。

分断してしまった自分を正当化するためかもしれない。

お互いを否定し合うことで、感情を殺していた。

虹は七色だから余計に美しい

今、愛するとは何かと問われたら、「そのままの存在を認め、受け入れ、幸せを願うこと」な気がしている。

今までは白が好きな自分を黒が好きな自分が否定してきた。

分断は争いを生み、お互いに傷つけあってしまう。

黒か白か?

両方好きでいいんだ。

白が好きな自分は、純粋に白を楽しみ、黒は白の幸せを喜ぶ。

そうあれたら。

お互いを認めあって、幸せを喜び合える時に、純粋で綺麗なものを感じられると思う。

虹は美しい。

赤や青や黄色が好きなやつも綺麗だと言えばいい。

黒が好きなやつも白が好きなやつも、それを喜べばいい。

そうしたら虹は余計に美しくなるんじゃないか。

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