『MONSTER』

最近ネットフリックスで配信が開始された『MONSTER』という作品を一気見してしまった。

原作は『20世紀少年』なども手掛けた浦沢直樹先生。

20世紀少年は中学生の時にどハマりした。実写映画化され、登場人物の仮面の男、いわゆる「ともだち」の真似をして遊んだ記憶がある。

浦沢直樹先生のマスターキートンも大好きで全巻持っていて、改めて考えてみると自分で思っていたよりもファンだった。

『MONASTER』という作品も実は中学生当時に漫画で読んだはずなのだが、内容があまり思い出せかった。

(さっき自覚した)浦沢先生ファンとしては、しっかりと思い出さなくては!というモチベーションで見始めたのだが、あまりにも秀逸でのめり込んでしまった。

物語はベルリンの壁崩壊後のドイツ。

主人公である日本人医師Dr.テンマは優秀な脳外科医で、大病院の院長の娘と婚約している、いわゆるエリートだ。

このまま出世街道をひた走り順風満帆な人生を送るかに見えたが、テンマは良心の呵責に苛まれている。

「医者の世界は政治だよ」

「人間の命は不平等なのよ」

「なんで先に運ばれた夫を助けてくれなかったの?」

そんな時、一人の急患が運ばれてくる。両親が銃殺された双子の兄妹の兄だ。頭に銃弾が残っている。妹の方はショック状態だが外傷はなく命に別状はないようだ。この手術は困難を極めるだろうが、テンマの腕であれば、もしかしたら成功するかもしれない。

やるしかない……

そう覚悟を決めた時、知事が倒れたと連絡が入る。院長命令が下り、子供は別の医師に任せ知事の手術をしろと言う。ここがターニングポイントだった。テンマは院長命令を無視して子供の手術をしてしまう。

難しい手術はなんとか無事に終わり、子供の命を救った。「人の命は平等だ。医師の本分に立ち帰ることができた」そう納得する。しかし、知事の方は死亡。院長命令を無視したテンマは政治世界から干されてしまう。ただの手駒としてこき使われ、愛していたフィアンセは別の医師のもとへとあっさり行ってしまう。

「僕は間違ったことはしていない。彼らなんか、死んでしまえば良いんだ」

ふとこぼしてしまった一言。それが現実のものとなり、物語は急展開を迎える。

院長や出世コースに乗った医師らが毒殺。双子の兄妹は行方不明。誰が殺したのか確たる証拠は何も出ず、双子の兄妹も一向に見つからない。事件は迷宮入りとなる。

事件から10年ほど経ち、Dr.テンマは外科部長にまで出世していた。親身になって平等に命を救い、患者たちや医療スタッフからの信頼も厚い仕事人間だ。誰もが口を揃えて良い人だと言う。

そんな折、ある事件の重要参考人だという急患が運ばれてくる。その男の命を見事救ったが、意識を取り戻したその男はひどく怯えている。事件のことについてなかなか話そうとしなかった男だが、テンマの真摯な姿勢に徐々に信頼を寄せていき、ある人物に殺人を依頼されたのだと震えながら話す。

その人物は用無しになった男の仲間を殺した。奴は「怪物」だ、と。

あらすじはこの辺で終えよう。

話はこの「怪物」すなわちタイトルにもある「MONSTER」と呼ばれる人物の謎を追って進んでいく。常に謎が謎を呼び、事件が事件を呼び、たくさんの魅力的な登場人物たちが巻き込まれていく。

この作品は生死を扱った作品だ。

怪物によって多くの人が死に、本来命を救う立場であるテンマは怪物を殺す決意をする。

いくつか問いかけたい。

怪物を殺すことは罪だろうか?

もし、怪物が死にかけているとして、その命は救うべきだろうか?

もし、殺すことを善として教育された子供が人を殺したらその責任はどこにあるだろうか?

そんな問いが物語を通して浮かんでくる。

僕はこういう作品が大好きだ。純粋に物語も先が気になりまくるので、海外ドラマように一度見始めると止まらなかった。

そういえば最近ブレイキングバッドも一気見してしまったがあれも秀逸だったななんて思いながら。

ぜひ気になった方は『MONSTER』を見てほしい。結構話数は多いのである程度の時間が必要だが、後悔はしない作品だと思う。漫画の方は完全版で全9巻と時間はあまりかからないと思うのでオススメ。

俺も全巻買おうかななんて思ったりした。

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