西日本原付旅2日目 移動と再会の日

2日目の朝6時。弱い雨が降る中で目が覚めた僕は軽く濡れながらコーヒーを淹れる。昨日に買っておいたふもとっぱらブランドのコーヒーだ。朝はコーヒーに限る。いやコーヒーがなければ朝がきたとは思えない。それくらい僕の中でコーヒーと朝は密接に関わり合っている(朝以外も飲むが)。

コーヒーを飲み終えて、そそくさとテントに戻り軽くストレッチをした後、今日の計画を見直す。まずは静岡の掛川あたりで友人とランチをして、そのあとはひたすらに移動して、愛知県常滑市というところにあるらしいこれまた友人の元を訪れる。下道でバイパスすら通れず300kmほど。今思えばしんどい。とてもしんどくてやりたくない。だが知らないというのは時には強さでもある。知っていて立ち向かうのが勇気なら、知らずに立ち向かうのは無謀なだけなのだが、時には無謀な挑戦というのも仕方がない。バカになることも人生においては大切なのである。なりたくてなったわけではないのは言うまでもないのだが…ともかく約束してしまった以上、後には引けないのだった。

多少濡れてはいるものの、致し方なくテントを袋に突っ込み、多くの荷物をカブちゃんに括り付け、7時半ごろふもとっぱらを出発した。朝の富士山は見えなかったが、昨日ちらりとでも見れただけでも儲け物だろう。僕は少しばかり後ろ髪を引かれる思いをしながらもカッパを着込んで走り始めたのだった。

12時ちょうどに掛川のカレー屋さん集合で約束をしていたが、余裕を持って着けるようにしようと早めにキャンプ場を後にしたのだが、Googleマップのナビはやたらとバイパス(自動車専用で原付は走れない)を薦めてくる。最初は気づかずに乗ってしまった(ごめんなさい本当に気づかなかったんです。許してください。南房総にはなかったんです)。看板は緑だし雰囲気は高速道路のそれで、周りの車もビュンビュンとスピードを出しており、「これひょっとしてあかんやつなのかな?」と軽く察しつつあったのだが、これも知らぬが仏とばかりにナビ通り走って掛川まで行ってしまったのである。今思い返すと冷や汗ものだが、やはり知らないこともまた時には必要なのかもしれない。おかげで時間には間に合った。

友人とは(友人と言っても2,3回会っただけなのだが)、僕が南房総で場所作りをしていた時に遊びにきてくれたご縁なのだが、会うのは2年以上ぶりでかなり久々の再会であった。当時、まだ半廃墟のようなところで開拓を手伝ってもらったりもした。彼女は当時大学生だったはずだけど、今は立派な社会人として掛川で働いているらしく、お昼休みの時間、会社の方も同席しているランチの場にお邪魔することになったのである。前日に連絡したのにも関わらず快く迎えてくれたのは本当にありがたい。

駐車場で撮っていただいたちょっと謎の写真(笑)

カレーの写真は撮り忘れてしまったのだが、美味しかった。チキンカツカレーだったはず。写真を撮り忘れたのにも浅い理由がある。雨に降られてバイクで走るのはなかなかに寒い。店の中で冷房にあたると震えてしまって恥ずかしかった。とにかく早く暖まりたくて写真も撮らずに食べてしまったのだ。そう言うことにして欲しい。なんとカレーは上司の方に奢っていただき(本当にありがとうございました…!)、仕事の合間だったのでゆっくりと積もる話まではできなかったものの、久々に会えただけで嬉しいものだ。こうやって旅をしなくてはなかなか再会できない仲間も、ありがたいことに色んな場所にいるので、またゆっくりと日本を巡るのも悪くないだろう。ワーホリなどがひと段落したらそんなこともしたいなを思うのであった。彼女も人生の岐路にあるようで、今後また世界のどこか(アフリカあたり)で会えたらいいなと思う。

人と話して、ご飯もいただいて、本当にありがたい時間を過ごした後、ここから6時間くらいの移動である。よく頑張ったね俺。すでにお尻は痛かったのだがろくな休憩も挟まずにぶっ続けで目的地へと向かった。ガソリンスタンドには立ち寄ったが、それ以外は特に寄り道もせず、スーパーのトイレで継ぎ足した水道水を飲みながら。このときの気概が最後まで持てばもう少しお金を使わずに行けたかもしれない。とにかく走って走って、友人宅に着いたのが午後7時ごろだったと思う。

その友人とは大学生の頃からの付き合いで、一緒のシェアハウスにも住んでいたことがあった同志というか仲間というか、人生の中でも思い入れのある相手である。とはいえ最後に会ったのはかれこれ3年近く前かもしれなかった。熊本県にあるエコビレッジサイハテという場所に住み始めていた彼に会いに行ったのが最後である。久々の再会パート2であった。

3年越しと言っても本質的にはお互い変わらないななんて、明るいムードメーカーが健在の姿を見て思いながら、でもやっぱりそれぞれが歩んできた時間というものの重みはあって、なんか大人になったなってすごく感じた。特に彼は生まれて1ヶ月足らずの赤ん坊のパパになっていたのだから尚更である。結婚して子供ができて。そんな人生に憧れや嫉妬がないといえば嘘になる。一人が好きだけれど、それは半分は強がりを続けてきた結果であって、本当は何かこう、愛し愛されるような関係性というものに強く惹かれるのも事実だ。なんだか羨ましさと、でも今はまだ俺は何かを背負えるような状態じゃないななんてことも思いつつ、一緒に海と温泉に行って語らった。なんかとてもいい時間だった。これくらいの距離感がちょうどいいのかもしれないとも少し思う。毎日のように会うという関係は話し下手な僕からするとちょっとしんどい。話すことが思いつかなくてあたふたするのだ。情けない話である。それゆえガーフフレンドの一人もできたことがないのだろうな。まあそれはそれ。

温泉の後は、彼が中心となって立ち上げていたらしいコミュニティのスペースに向かった。そこで泊めてもらうことになっていたのである。何人か先客や先住民の方がおり、ご飯に混ぜていただいた。そこのご縁で翌日行く場所が定まったのであるがそれはまた後で話そうと思う。作ってくれた料理をいただき、みなさん当然顔見知りなのでちょっぴりの人見知りを発揮しつつ、ざっくばらんに話をして(聞いて)、次の日の予定を組んだ。

明日は京都大阪あたりを観光する予定だったのだが、急遽滋賀県の山奥に向かうこととなる。
そこで祭りがあるらしいのだ。割とスピ系というかヒッピー系の場所らしい。とりあえずキャンプで泊まれるとのことだったのと、明日行くという人が2人いたのでこれも何かの縁と思って向かうことにした。位置情報だけ共有されて、明日の朝出発。距離にすると150km〜200kmのようなので、まあまあこれくらいがちょうどいいだろうと学んでいた。そういうわけで3日目はヒッピーの祭りへと向かったのであった。

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