小説『海風』第12話
砂と空気の束を巻き込んだ大きなうねり。目を閉じ、ただその水の動きに身を任せる。海底の砂に引っ掻かれながら身体は回転して、塩分を濃く含んだ海水が辛さを伴って喉や鼻を通り抜けていく。波の力が抜けるタイミングで水面から顔を出す…
砂と空気の束を巻き込んだ大きなうねり。目を閉じ、ただその水の動きに身を任せる。海底の砂に引っ掻かれながら身体は回転して、塩分を濃く含んだ海水が辛さを伴って喉や鼻を通り抜けていく。波の力が抜けるタイミングで水面から顔を出す…
たとえ同じ景色を見ていたとしても、感情という絵の具をどう塗りたくるのかによっては、煌めいた情景ですら鬱陶しく思えたりもする。それは同じ人間であってさえもだ。 「んん〜!きっもちいぃね〜〜!うみっ!」 ”彼女”は大好きなお…
”彼女”は是非もなく変わり者だった。 あいつのことを好きになるくらいには。 8月が終わってヒグラシばかりが耳につく9月の初め、俺はあいつと”彼女”を引き合わせた。 キューピットってわけだが、どうにも損な役回りに感じる。少…
俺はあいつのことが嫌いだ。 いつも自分の殻に閉じこもってウジウジしているのに腹が立つ。 俺自身への苛立ちでもあるのだが、それはそれとしておこう。 ”彼女”(あいつはあの女のことをいつもそう呼ぶ)の死について知らなかったな…
拝啓 僕と関わってくれたみんなへ。 誰かがこの文章を読んでいる頃には僕はもうこの世にはいないでしょう。 端的に結論を述べると、僕は死ぬことにしました。 僕には愛がわからないから。人を死に追いやってしまうから。関わる人を不…
ふと気づくと14時間も寝ていた。 これだけ寝たのに何故か押し潰れるような瞼にほんの少し抵抗して、カップ焼きそば用のお湯を準備する。なんでもいいから腹にいれたかった。電気ケトルに水道から必要最低限の水を供給し電源を入れる。…
僕は何をするでもなく部屋でただ息をしていた。 無気力で何もしたくない。そのための言い訳はたくさんあった。そのどれもが僕の妄想だとしても、世界とはそういうものだと思う。 なぜ生きているのか問われたら「死ぬのが怖いから」。僕…
記憶は曖昧に溶けていく。時間なんてものは存在しない。ただ宇宙は膨張しているしそれに沿ってエントロピーは増大しているし、僕らは煩雑になっていくその存在のピースたちを時間なんて呼び方をしている。それらを切り取ってはめ込んだと…
クラウドファンディング開始から2日でなんと115人から100万円もの支援をいただきました。 正直にいえば実感が湧かないくらい僕にとっては大きい数字です。「ありがたい」その一言では表せないくらい感謝してもしきれません。 本…
(なんか書いていたら長文になってしまいました端的に結論を言うならクラファンをしますの一言です。) 勢いで会社を辞める決断をしてからもう2年が経ちます。この2年間本当に色々なことがありました。いや、ここ5年くらいでしょうか…
どんな信念も足かせになることはきっとある。 言い訳のためだけに信念を持っていることもある。 自分が挑戦しないことの言い訳だ。 例えば僕は、「競争なんてくだらない」という信念を持っていた。 それは正しい時もある。 でも全て…
西表島を言い訳に新年の目標を早速達成できなかった。 一度やめてしまうと「もうどうにでもなれ効果」が働いてやる気が全く出なくなる。 今日はもういいや、明日から本気出す。 そんな思考回路から抜け出せなくなる。 今年はそんな自…
昨日の夜はブログの更新なんて忘れて完全に寝落ちしてしまった。 朝になって思い出した時に罪悪感と自己嫌悪が湧いてくる。 また言ったことを守れなかった。 自分はなんてダメなんだ。 そんな思いが湧いてくるのを観察する。 もっと…
最近は10時くらいに寝て7時前に起きるような生活が続いている(現在時刻は午後11時15分)。 今日は4時半に起きてライティングをしていた。 自分は夜型人間だという自負があったのだけれど、幻想だったのかもしれない。 早起き…
あけましておめでとうございます。 25歳にして未だにお年玉をもらっている武藤です。 年越しは実家ではなく南房総で過ごしました。 年越しキャンプでUMIKAZEを訪れてくれる人もいて、僕自身はオーナーのおうちで10人くらい…